それは
少し向こうの席だったり
タイミングが悪いと、隣の席だったりする
パソコンのキーボードを打つ音が、響いている
叩く音といったほうが
しっくりくる
たとえば、それは新幹線の中で
不規則なその音は
一度響き出すと、ずっと脳につきまとう
あぁ、放っておいてくれ
僕は景色を眺めながら
とりとめのない思考を楽しみたい、あるいは
この本の続きが読みたいのだが
誰だか知らない、君の出すその音に引きずられ
君のことを
考え始めてしまうのだ
そう強く叩かなくても、パソコン作業は進む
君はそれに
気がつかないのが
僕には不思議だ
どこまでも鈍いその感性は
会社でそこはかとなく嫌われてはいないか
悪口になっている
君のそばに立ち、この気持ちを伝える妄想まで
繰り広げながら
願うのは
どうか君が、そう遠くない駅で降りますように
ABOUT ME