G-J0DDFGRNC8
ひとりで見る景色は

残りの人生を考える

ひとりに戻った、と小春は思う。

朝、目が覚めるとそれを実感する。あぁ、ひとりに戻ったんだ、と。

ここのところは毎朝だ。

子どもと別々の暮らしを始めて、2年が経つ。

親としての役目は、ほぼ終わったと言っていい。

母親のいない日常を、子どもは子ども自身で創り出している。

この先の残りの人生は、なんのためにあるのだろう。

子育てを終える今、小春の足元は情けないほどにぐらつき、歩く方向を定められずにいた。

小春は思う。

自分だけのために生きられるだろうか。

それは私を幸せにしてくれるだろうか。

子育ては、あっという間の時間だった。

なのにその時間が、私の人生すべての大きさになるなんて、とても不思議だと。

その先はご褒美みたいなものだろうか。

誰かのための役目を求められないというのは、今の小春にとって

孤独や苦しさにも似た感情があるのは事実である。

それでも、繰り返す日々を紡ぎ生きていれば、

今は見つけられなくても、いつか探し始めた何かと出会うだろう。

ABOUT ME
lily
空想を言葉に。いつか会う人を思いながら。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です