ママはずっときれいだった
白く透き通るような肌に
柔らかな細い髪
焦げ茶色の大きな瞳
ママはそこにいるだけで人目を引いた
どこにいてもすぐにわかった
ママはとてももてたのに
誰かに振り向くことはせず
私を愛し、ひとりで育てた
ママは子どもの頃から孤独だった
ママの心には、ママにしかわからない
大きな苦痛を
抱えながら大人になった
ママは言っていた
子どもの頃、家の中は
がらんとして暗く、心細かった
雨の日に、迎えに来る約束を
ママのママはいつも忘れた
時折思い出すように、ママは
ぽつりぽつりと話した
ママはわからないと言った
どうしたら愛されたのかわからない
今もまだその答えを探してしまうと
ママのママは最後までママに愛していると
伝えずに死んでしまった
ママは愛されたかった
ママのママに
それはママがこんなに大きくなって
ママになって
私を育て、私を愛すれば愛するほど
子どもの頃のママを思い出し
ママを苦しめる問いになっている
月がきれいに光る夜
ママはよく泣いていた
きれいだったママ
大好きなママ
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