G-J0DDFGRNC8
自由詩

春の恋

卒業式があったみたいだ

胸元に花を飾った 学生たちとすれ違う

本格的な春が訪れる ほんの少し前

校舎の階段に座って足を投げ出した

君の姿を思い出す

私はその足に躓き

不機嫌そうに見上げた君の

眩しそうな瞳に 心が揺れた

友だちといても

横顔で君を意識していた

ふざけたはずみで 距離が近づいた時

胸がどきんと鳴った

一度だけ 一緒に駅まで歩いた

あと何日で卒業だろうね

そんな話をして

ふたりとも急に黙った

君の未来に私はいるのかな

聞けないことばかり浮かんで

黙ったまま歩いた

反対側のホームに立つ 向こう側とこちら側

君に言わなくちゃいけないことが

あるような気がして

まだ言葉にはなっていないけど

君の前に立ったら言える気がして

君のホームへと続く階段を

駆け降りた時

君を乗せた電車は行ってしまった

あれから春はいくつも過ぎた

君の未来に私はいなかった

君は今 誰を見て

どんな恋をしているんだろう

ABOUT ME
lily
空想を言葉に。いつか会う人を思いながら。

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