卒業式があったみたいだ
胸元に花を飾った 学生たちとすれ違う
本格的な春が訪れる ほんの少し前
校舎の階段に座って足を投げ出した
君の姿を思い出す
私はその足に躓き
不機嫌そうに見上げた君の
眩しそうな瞳に 心が揺れた
友だちといても
横顔で君を意識していた
ふざけたはずみで 距離が近づいた時
胸がどきんと鳴った
一度だけ 一緒に駅まで歩いた
あと何日で卒業だろうね
そんな話をして
ふたりとも急に黙った
君の未来に私はいるのかな
聞けないことばかり浮かんで
黙ったまま歩いた
反対側のホームに立つ 向こう側とこちら側
君に言わなくちゃいけないことが
あるような気がして
まだ言葉にはなっていないけど
君の前に立ったら言える気がして
君のホームへと続く階段を
駆け降りた時
君を乗せた電車は行ってしまった
あれから春はいくつも過ぎた
君の未来に私はいなかった
君は今 誰を見て
どんな恋をしているんだろう
ABOUT ME